50TB、100TB超え!”超”大容量NASの選び方と運用のコツ

こんにちは、PC周辺機器メーカー直販サイト「アイオープラザ」店員、NAS(ナス)の「なっさん」です!
今回は、

  • 容量50TB以上の”超”大容量NAS

についてお話しします。

当店で扱う法人向けNASの容量は最小1TB、最大は144TBです。
使い方によっては8TBや16TBでも十分「大容量」と言えるので、どこからを”超”大容量と呼ぶかは難しいところですが……ここはもう、はっきり言って私たちの独断と偏見で「50TB以上」……具体的には、

  • 64TB、80TB、96TB、120TB、144TB

のNASを、本記事では「”超”大容量」とさせていただきます。

というわけで、

  • 50TBや100TBを超える容量のNASをお探しの方
  • そういうNASの運用にあたって、気を付けるべきことを知りたい方

に役立つ内容を”だいたい本音”でお話ししますので、ぜひ最後までご覧ください!

※本記事は主に法人向けの内容です。

”超”大容量NASを選ぶ4つのコツ

まずはイメージしていただきやすくなるように、

  • 容量50TB以上の”超”大容量NAS

のラインアップとして、どういうものがあるのかを具体的に示します。
当店で扱う機種の選択肢を一部例示すると、以下のとおりです。

Linux OS搭載NAS(LAN DISK X,Hシリーズ)

Windows OS搭載NAS(LAN DISK Zシリーズ)
※下記のリンクはWindows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載品

  • 据え置きタイプ 64TB 80TB
  • ラックマウントタイプ 64TB 80TB

ではこの中で、どれを選べば良いのか?
容量についてはあなたの仕事の環境次第ですが、それ以外の「選ぶ観点」について、4つお話しさせてください。

  • そもそも用途はなにか?
  • WindowsかLinuxか?
  • Windowsの場合、OSの種類は?
  • 据え置きタイプかラックマウントタイプか?

そもそも用途はなにか?

大前提として、”超”大容量NASをなにに使うか? というのがひとつ目の観点です。
これは敢えて大まかに分けると、以下ふたつのどちらか、というケースが大半だと思います。

  • ファイルサーバー用途
  • ファイルサーバーのバックアップ用途

前者は「みんなで使えるデータ領域」、共有フォルダとしてNASを使う用途です。
後者は、既にそういうファイルサーバーを社内で複数運用している際、NASをバックアップストレージとして使う用途です。

このふたつの用途のどちらかによっても、続く観点に影響が出てきます。

WindowsかLinuxか?

……とは言いましたが、正直に言えば、Windows/Linuxのどちらをお選びいただいても、両方の用途にお使いいただけます。
ただし「差がない」わけではありません。Windows OS搭載NASのほうが高額ですが、その分、少なくとも以下3つのメリットを挙げられます。

  1. Windows Serverの運用に慣れている場合、管理画面のインターフェース(UI)が使いやすい
  2. Active Directory等、Windows固有の機能との連携がよりシームレスに行いやすい
  3. 搭載するCPUのスペックが高く、より多人数の同時アクセスに向く

3はWindows OSによる恩恵というよりは、Windows OSの動作要件上、結果的にハイスペックなハードウェアであるということです。
具体的に言うと、推奨同時接続台数(最大)には、以下のような差があります。

  • Linux OS搭載NAS:128台(LAN DISK Hシリーズの場合)
  • Windows OS搭載NAS:500台(LAN DISK ZシリーズCore i3搭載モデルの場合)

逆に言うと、1や2にこだわらず、同時接続台数も数十台規模であるという場合は、Linux OS搭載NASで十分です。

↓Linux OS搭載の”超”大容量NASを見てみる↓
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK H,Xシリーズ

Windowsの場合、OSの種類は?

Windows OS搭載NASがいい、という場合は、さらにOSの種類が幾つかあります。
具体的には、以下のふたつです。

  • Windows Server IoT 2025 for Storage Standard
  • Windows Server IoT 2025 for Storage Workgroup

要するに「Standard Edition」か「Workgroup Edition」か、ということですが、大きな違いは「ユーザー利用制限数」の違いです。

  • Standard:無制限
  • Workgroup:50

OSの仕様上、Workgroupは利用ユーザーを50に制限されます。
Standardには制限がないため、ハードウェアスペックが許す限り、いくらでもユーザー数を増やすことが可能です。

ただ……ここで一気に説明してしまうと、だからこそ、Standard Editionを搭載したNASには、ハードウェアスペックの異なるふたつのラインアップがございます。
搭載するCPUと推奨同時接続台数を具体的に書くと、以下のとおりです。

  • Core i3搭載:500台
  • Atom搭載:200台

ややこしくて恐縮ですが……まとめると、Windows OSを搭載したNASは、ハードウェアスペックとOSの種類によって、下記の3種類に分かれるというわけです。

  1. Core i3×Windows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載
  2. Atom×Windows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載
  3. Atom×Windows Server IoT 2025 for Storage Workgroup搭載

ちなみに容量ラインアップとしては、それぞれ64TBと80TBをご用意しています。

↓Core i3×Windows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載NASを見てみる↓
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK Zシリーズ

↓Atom×Windows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載NASを見てみる
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK Zシリーズ

↓Atom×Windows Server IoT 2025 for Storage Workgroup搭載NASを見てみる↓
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK Zシリーズ

据置タイプかラックマウントタイプか?

こちらはシンプルに「形状」の問題です。
棚の上などに置くか、サーバーラックにマウントするか?

既に、他にもサーバーラックで運用するサーバー機器やネットワーク機器があり、ラックのスペースに空きがある場合は、ラックマウントモデルが良いでしょう。
例えばサーバーのバックアップ用途であれば、こちらのケースが適合すると考えます。

逆に、これまでサーバーラックを運用していないということであれば、据置タイプで構いません。
価格としては、若干据置タイプのほうが安価となっています。

ただし、全てのラインナップで据置タイプとラックマウントタイプの両方をご用意しているわけではありません。

Linux OS搭載モデルは据置タイプのほうが96TB、120TB、144TBと、より大きな容量のラインアップがございます(ラックマウントタイプは64TB、80TB、96TB)。
WindowsOS搭載モデルは、容量帯自体は64TB、80TBの2ラインアップと変わりませんが、先程挙げた、

  1. Core i3×Windows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載
  2. Atom×Windows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載
  3. Atom×Windows Server IoT 2025 for Storage Workgroup搭載

のうち、据置タイプをご用意しているのは1だけです。
2と3はラックマウントタイプのみとなります。

↓Linux OS搭載の”超”大容量NASを見てみる↓
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK H,Xシリーズ

↓Core i3×Windows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載NASを見てみる↓
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK Zシリーズ

↓Atom×Windows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載NASを見てみる
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK Zシリーズ

↓Atom×Windows Server IoT 2025 for Storage Workgroup搭載NASを見てみる↓
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK Zシリーズ

”超”大容量NASを運用する3つのコツ

ラインアップと選び方のコツは以上ですが、NASは導入して終わりではありません。
長期間運用し続けるものです。

その観点で、”超”大容量だからこそ、特に運用時に気を付けておきたい観点を3つご紹介させてください。

  • バックアップを取る
  • 適切なRAIDモードを設定する
  • 高速なネットワーク環境を用意する

バックアップを取る

まず、”超”大容量NASを運用する上で最も強調させていただきたいのは、

「必ずバックアップを取ってください!」

ということです。

NAS自体をバックアップ用途として使う場合は別ですが、ファイルサーバー用途として使う場合、バックアップは必須です。
大容量を必要とするということは、恐らくそこにはあなたの会社にとって、非常に重要なデータが保存されるものと推察します。
もし消失(喪失)してしまえば、本業に重大な損失を被ってしまうのではないでしょうか?

もちろん私たちメーカーも、容易に故障が発生しないよう、種々の手を尽くしています。しかし、それでも「絶対に故障しません!」とは言えないというのが本音です。
ですからバックアップ運用だけは、確実に行っていただくようお願いします。

↓「バックアップってどうやるの?」という方は、こちらも併せてご参照ください↓

ただ……NAS自体が”超”大容量ということは、バックアップ用の外付けHDDも”超”大容量である必要があるということです。
当店のラインアップでは以下が該当しますので、よろしければ参考としてください。

↓”超”大容量の外付けハードディスクを見てみる↓
50TB以上 法人向け 4ドライブ外付けHDD HD4-UTNシリーズ

適切なRAIDモードを設定する

バックアップを取れば、少なくともデータ消失は抑止できます。
が、万が一NASが故障してしまった際……”超”大容量であるがゆえに、バックアップデータを復旧させるまでに、かなりの時間がかかってしまうリスクがあります。その間業務が止まってしまうのも問題です。

そこでもうひとつ、事前に手を打つべきは、

  • 冗長性の担保

です。
具体的には、NASに搭載されたHDDの一部が故障しても、運用を止めずに済むよう、

  • 適切なRAID(レイド)モードを設定する

という行為が該当します。

なお、当店の”超”大容量NASは、全てご購入時の標準設定で、データの多重化を行うRAID設定となっているのでご安心ください。

ちなみに、

「バックアップとRAIDの違いが、まだよく解らないんだけど?」

という方は、以下の記事で詳しく説明していますので、併せてご確認いただけると嬉しいです。

高速なネットワーク環境を用意する

意外と忘れがちなのが、このネットワーク環境です。
NASは有線LANでスイッチングハブ等に接続するのが普通ですが、

  • 対応する有線LANの規格

によって、転送速度の上限が異なります。
当店の”超”大容量NASは、いずれも

  • 10GBASE-T(10GbE)

という、超高速の規格に対応しています。
が、スイッチングハブやケーブルなどのネットワーク機器も、同じ規格に対応していなければ、パフォーマンスを発揮できません。

大容量のデータを扱う場合、転送速度の速さが使い勝手に直結します。

「なかなか転送が終わらない……」

となると、大きなストレスになってしまうでしょう。
とは言えネットワーク環境を丸ごと入れ替えるとなると、かなりの投資になるので、まずはNASをご導入いただき、後々ご検討いただくので良いと考えます。

ひとつの観点として、ご参考までに。

まとめ

というわけで今回は、

  • 容量50TB以上の”超”大容量NAS

についてお話ししました。

ご紹介した“超”大容量NASを選ぶ4つの観点は、以下のとおりです。

  • そもそも用途はなにか?
  • WindowsかLinuxか?
  • Windowsの場合、OSの種類は?
  • 据え置きタイプかラックマウントタイプか?

色々ご説明しましたが、話をシンプルにすれば、

「単純に、大容量のファイルサーバーが欲しい」

ということなら、Linux OSを搭載した、据え置き型のNASをお選びいただければ良いと考えます。

↓Linux OS搭載の”超”大容量NASを見てみる↓
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK X,Hシリーズ

そうではなく、既に運用中のファイルサーバー(Windows Server)のバックアップ用途として使う場合など、Windows OS搭載NASが良い場合は、搭載するCPUとOSのEditionで大きく3種類に分かれるので、適切なものをお選びください。

↓Core i3×Windows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載NASを見てみる↓
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK Zシリーズ

↓Atom×Windows Server IoT 2025 for Storage Standard搭載NASを見てみる
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK Zシリーズ

↓Atom×Windows Server IoT 2025 for Storage Workgroup搭載NASを見てみる↓
50TB以上 法人向けNAS LAN DISK Zシリーズ

また、”超”大容量NASの運用時には、

  • バックアップを取る
  • 適切なRAIDモードを設定する
  • 高速なネットワーク環境を用意する

という3つの観点をお持ちいただけると幸いです。

RAIDについては標準設定で対応可能ですが、バックアップについては運用に組み込んでいただく必要があります。しかしバックアップ運用を行っていないと、万が一の故障時にデータを消失(喪失)してしまうリスクがありますので、私たちメーカーとしては、

「バックアップは必ず行ってください!」

と、敢えて強く言わせていただきます。

ネットワーク環境については、もし予算に余裕があれば、

  • 10GBASE-T(10GbE)

対応のスイッチングハブやケーブルをご導入いただくことをオススメします。
大容量のデータを扱う以上、転送速度はストレスなくご利用いただくための非常に重要な観点のひとつと言えるでしょう。

その他、「NASについての全般的なご相談」も広く受け付けております。ここまで触れてきた内容の他、なにか導入の壁となるご懸念がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください!

投稿者プロフィール

NAS(ナス)の「なっさん」
NAS(ナス)の「なっさん」
PC周辺機器メーカー アイ・オー・データ機器の直販ECサイト「アイオープラザ」店員。
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