こんにちは、PC周辺機器メーカー直販サイト「アイオープラザ」店員、NAS(ナス)の「なっさん」です!
今回のテーマは、
- NASの買い替え
です。
“みんなで使えるデータ領域”であるNASは、今や業務に欠かせないほど便利なものとして、あらゆる業界のあらゆる規模の法人で活用されています。
ただ、長く運用していると、
「そろそろ買い替えたほうがいいのかな?」
「NASって、いつ買い替えるのが正解なんだろう?」
といった疑問を抱いたり、
「そういえば、最近ちょっと調子が悪い気がする……」
「容量がもうちょっとで一杯になりそう」
といった事態に直面したりすることがあると思います。
今回はそんなあなたへ向け、「NASを買い替えるべきタイミング」や、「買い替え時に気にすべきポイント」についてご説明します。
“だいたい本音”でお話ししますので、ぜひ最後までご覧ください!
※本記事は主に法人向けの内容です。
NASを買い替えるべきタイミングとその理由
まずは、
- NASを買い替えるべきタイミングとその理由
についてお話しします。
とは言え、細かいものを含めるときりがないくらいあるので……ここでは主なケースを4つ挙げたいと思います。
- 運用中のNASを、すでに5年以上使っている
- 運用中のNASの空き容量が少なくなってきた
- 運用中のNASのOSのサポート期限が切れてしまった or 切れそう
- なんか最近、運用中のNASの調子が悪い気がする
順番に詳細と理由をお話しさせてください。
運用中のNASを、すでに5年以上使っている
もし、誰かになんの前置きもなく、
「NASを買い替えるべきタイミングって、いつ?」
と訊かれたら、私はこう答えます。
「運用開始から5年経ったときです」
なぜか?
5年以上使い続けると、故障率が上がっていくからです。
NASは原則、
- 24時間、365日稼働し続けることが前提の機器
です。
当然、高い耐久性が求められるため、それに準じた部品が使われています。しかしそれでも長い間使い続けると老朽化が進み、どこかにガタが生じます。どのくらいでガタが来やすくなるのか……その目安が「5年」というわけです。
ただ、こういうお話をすると、
「別に、5年で絶対壊れるわけじゃないでしょ? 壊れたら買い替えればいいんじゃ?」
と思う方も一定数いると思います。
本音でお答えすると、それはまあ、”ある意味では“そのとおりです。
6年、7年と使えることが「絶対にない」とは言い切れません。
その意味では、長く使えば使うほど、コストパフォーマンスは良くなると言えるでしょう。
ただ、これも本音として申し上げますが、絶対に忘れていただきたくないことがひとつあります。
- NASは、毎日、多くのひとが使う機器
ということです。
そこから紐解くと、ふたつのリスクが浮かび上がります。
- ある日突然故障したときの、業務停止リスク
- ある日突然故障したときの、データ喪失(消失)リスク
“みんなで使うデータ領域”であるがゆえに、NASが壊れると業務が止まってしまいます。新しいNASに入れ替える間、1日2日かかるだけでも許容できないことは多々あるでしょう。まして1週間止まってしまえば、目も当てられません。
さらに恐ろしいのは、バックアップも取っておらず、データが失われてしまう事態です。
特に、設計データやデザインデータ、映像データ、画像データなど、それそのものがビジネスの根幹をなすデータを保管していた場合、喪失すると取り返しがつきません。
事業そのものの基盤が揺らいでしまうような、深刻な被害を受けてしまうこともあるでしょう。
だから私はメーカー直販店員として、” NASを1台でも多く売りたいから”ではなく、“業務が止まったりデータが失われたりという事態を、この世からひとつでも消したい”という思いで、
「NASは、壊れそうになる前に買い替えるべきです」
とお伝えします(もちろん買ってくださること自体も嬉しいですけど)。
そしてその目安が、
「運用開始から5年経ったとき」
というわけです。
5年経ったら直ちに、絶対に買い替えなくてもよいですが、“壊れそうになる前に買い替えること”自体は、強くオススメします。
いきなりちょっとヘビーな話から入ってしまいましたが……実は、今の話がNASの買い替えについて、最もお伝えしたい大事なことでした。
運用中のNASの空き容量が少なくなってきた
というわけで、ふたつ目の買い替えタイミングは、
- 運用中のNASの空き容量が少なくなってきたとき
です。
当たり前ですが、NASの容量がなくなると、新しいファイルを書き込めなくなります。
いちいちなにかを消して、書き込んで……ということになるため、使い勝手が著しく下がります。
ですから、空き容量が減ってきたら買い替えの検討をオススメします。
「空き容量がどのくらいになったら、検討すべき?」
という質問については、正直ケースバイケースですが……ひとつの目安として空き容量が製品容量の10%を切ったあたりではないでしょうか。
例えば2TBのNASならおおよそ200GB、4TBのNASなら400GBを切ったタイミングです。
ただ、これについては「なぜ?」と訊かれてもあまり根拠はありません。
本当は、空き容量より「データの増え方」のほうが重要です。もし「少しずつしか増加しないことが解っているので、運用上問題ない」といった場合は、空き容量が少なくとも慌てる必要はないでしょう。
運用中のNASのOSのサポート期限が切れてしまった or 切れそう
3つ目の買い替えタイミングは、
- 運用中のNASのOSのサポート期限が切れてしまったとき
- または、切れそうなとき
です。
これは主に、
- Windows OS搭載NAS
についてのお話しです。
OSの提供元であるMicrosoft社は、各OSのサポート期限を設けています。
誤解を恐れず大まかに申し上げると、サポート期限とは要するに、
- アップデートの提供期限
を指します。
機能のアップデートも含まれますが、なにより重大なのは「セキュリティアップデート」です。
世の中(アンダーグラウンド)には、OSの弱い部分(脆弱性)を突いて、悪意のあるプログラム(マルウェア)で機器(この場合はNAS)を乗っ取ろうとする攻撃者が存在します。
そういった攻撃者に対し、OSの提供メーカーはセキュリティアップデートによって脆弱性を解消します。
サポート期限が切れたOSには、そのセキュリティアップデートが提供されません。
するとどうなるか。攻撃者にとっては、
- 脆弱性対策をされないパラダイス
のような状態になり、脆弱性を見つければ攻撃し放題……その結果、
- NASのデータを盗まれる
- 勝手に暗号化されて読み取れなくなる
- さらに「暗号化を解いてほしければ、金を払え」という要求が来る
といった事態に陥るリスクがあります(マルウェアの動作については一例です)。
ちなみに「暗号化を解いてほしければ、金を払え」といった要求をするマルウェアを「ランサムウェア」と呼びますが、数年前から爆発的に広まっており、多様な手口で身代金を要求してきます。
しかも、身代金を払ってもデータが戻ってくるとは限りません。
このように、サポート期限が切れたOSを使うことは、かなりリスクのあることです。
お使いのOSがもしWindows OSを搭載したNASであれば、どうかサポート期限を意識した上で、買い替えを計画してください。
なんか最近、運用中のNASの調子が悪い気がする
4つ目の買い替えタイミングは、
- なんか最近、運用中のNASの調子が悪い気がする
ですが……すいません、これは「その他」と言ってもいいくらい多様なケースを内包します。
ただ、例えばひとつ具体的な内容を上げると、
- 動作が重いと感じる
という場合、もしかすると買い替えのタイミングかもしれません。
というのは、例えばNASに搭載されたHDDが劣化してくると、動作速度が低下するからです。
もちろん、動作が重いと感じる理由は色々考えられますし、NAS以外に原因がある可能性もあります(PCやネットワーク環境)。
ただ、意外と「感覚もばかにできない」ということを申し上げたくて、ひとつの項目とさせていただきました。
NASの買い替え時に気にすべき3つのポイント
以上が「NASを買い替えるべきタイミングとその理由」ですが、次はそれらを経て実際に、
「NASを買い替えよう」
という段階に進んだ際、気にすべきポイントについてお話しします。
これも細かいことを言い出せばきりがないですが、私たちメーカー直販店員から見て、
「せっかく買い替えるなら、最低限こういうことは改めて考えたほうがいいです」
という内容に絞ってみました。
それは、以下の3つです。
- 容量を増やすか?
- アクセスする人数(台数)を増やすか?
- ネットワーク構成をアップグレードするか?
順番にお話しさせてください。
1.容量を増やすか?
買い替え時は、容量を見直す絶好の機会です。
導入後に容量を変えることも不可能ではありませんが、多少なりともお金と時間のかかる作業ですから、買い替える際に一度は検討しておくべきでしょう。
もちろん、今お使いのNASで容量には全く困っていないという場合は、同じ容量(あるいはそれ以下)の商品でもよいでしょう。
ちなみに……当社のNASで、
- RAIDeX(レイドエックス)※旧名:拡張ボリューム
という機能に対応した商品の場合、NASの運用を停止せずに容量を増やすことが可能です(アップスケーリング)。

「最初は前と同じ容量でいいけど、もし将来、容量が足りなくなったら増やしたいなあ」
という方は、そういった機種への買い替えをお選びいただくのも、ひとつの選択肢でしょう。
↓RAIDeXに対応したNASを見てみる↓
法人向けNAS(Linuxモデル)
2.アクセスする人数(台数)を増やすかどうか
これはある意味で、容量以上に重要です。
なぜならNASのラインアップは、
- 推奨同時接続台数(人数)
でシリーズが分かれているからです。
つまりアクセスする人数(台数)を増やしたければ、NASを買い替えるしかありません。
「ちょっと今のNAS、アクセス速度が遅い気がするんだよな」
と感じるようなら、買い替え時にワンランク上のシリーズをお選びいただくのも良いでしょう。
当社の現行ラインアップは概ね下記のように分かれていますので、ご利用人数に合わせて適切なものをご検討ください(※各台数は目安です)。
↓500台(名)規模↓
LAN DISK Zシリーズ(Core i3搭載) Windowsモデル
↓200台(名)規模↓
LAN DISK Zシリーズ(Atom搭載) Windowsモデル
↓128台(名)規模↓
LAN DISK Hシリーズ
↓50台(名)規模↓
LAN DISK LVシリーズ
↓25台(名)規模↓
LAN DISK LENシリーズ
3.ネットワーク構成をアップグレードするか?
これも、NASのアクセス速度に関係します。
NASは通常、有線LANでスイッチングハブ等に接続しますが、
- 対応する有線LANの規格
によって、転送速度の上限が異なります。
最もポピュラーな規格は、
- 1000BASE-T(1GbE)
ですが、NASの機種によっては、
- 2.5GBASE-T(2.5GbE)
- 10GBASE-T(10GbE)
といった規格に対応しています(単純に、数字が大きいほうが速いです)。
もちろん、より上位の規格に対応したNASをお選びいただくにこしたことはありませんが、気を付けなければならないのは、NASだけでなく、
- NASを接続するネットワーク環境(機器)
も、同じく上位の規格に対応したものでなければ、パフォーマンスを発揮できないということです。
ですからNASを買い替える際、ネットワーク環境ごと高速な規格に対応したものにしよう……というのも、ひとつの検討事項かと考えます。
ただし、社内のネットワーク環境ごと入れ替えるとなると、それなりの負担になりますから、これは前ふたつと比べれば、あまり無理をして検討しなくとも良いのではないか、というのが私たちの率直な意見です。
NASのパフォーマンスを上げるなら、まずは前項の「同時接続台数」を意識いただければよいでしょう。
ちなみに有線LANの対応規格について、当社のNASは以下のように対応が分かれていますので、ご興味のある方はぜひご参照ください。
↓10GBASE-T(10GbE)対応↓
LAN DISK Zシリーズ(Core i3搭載) Windowsモデル
LAN DISK Zシリーズ(Atom搭載) Windowsモデル
LAN DISK Hシリーズ
↓2.5GBASE-T(2.5GbE)対応↓
LAN DISK LVシリーズ
LAN DISK LENシリーズ
まとめ
というわけで今回は、
- NASの買い替え
についてお話ししました。
まず、
- NASを買い替えるべきタイミングとその理由
については、
- 運用中のNASを、すでに5年以上使っている
- 運用中のNASの空き容量が少なくなってきた
- 運用中のNASのOSのサポート期限が切れてしまった or 切れそう
- なんか最近、運用中のNASの調子が悪い気がする
という4点を挙げさせていただきましたが、特に重要なのはひとつ目です。
絶対に5年経ったら買い替えなければいけない、とまでは言いませんが、
「NASは、壊れそうになる前に買い替えるべきです」
とは言いたいところです。
ある日突然故障してしまうなどの事態に陥った結果、事業そのものの基盤が揺らいでしまうような、深刻な被害を受けてしまうこともありますので、この点については改めて強調させていただきます。
また、実際に「買い替えよう!」という段階になったときに役立つ、
- NASの買い替え時に気にすべき3つのポイント
もご紹介しました。
具体的には、
- 容量を増やすか?
- アクセスする人数(台数)を増やすか?
- ネットワーク構成をアップグレードするか?
という3点で、特に1と2については、買い替え時がまたとない機会になりますので、一度はご検討いただけると嬉しいです。
実際の機種を選定される際には、上で触れた情報のほか、以下の記事がお役に立てるかもしれません。
選ぶ観点や各シリーズとの照応について詳しくご説明していますので、ぜひ併せてご参照ください。
選択肢100型番以上!「で、何が違うの?」NASの選び方を解説
その他、「NASについての全般的なご相談」も広く受け付けております。ここまで触れてきた内容の他、なにか導入の壁となるご懸念がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください!
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