こんにちは、PC周辺機器メーカー直販サイト「アイオープラザ」店員、NAS(ナス)の「なっさん」です!
過去3回に分けてバックアップについて語ってきましたが、今回はその完結編として、
「バックアップHDDって、どれを買えばいいの?」
という疑問にお答えする形で、選び方や具体的な商品をお伝えします。
なお、バックアップについてもっと根本的な話から知りたい! という方は、以下より過去3回の記事をご覧いただけると嬉しいです。
バックアップってなに? なんのためにやるの?
NASのバックアップ先を選ぶ、5つの観点とは?
NASのバックアップってどうやるのが正解? 3つの種類と運用例を紹介!
※本コンテンツは法人向けです。
USB HDDはバックアップ媒体として、適切か?
元も子もない話ですが、
「USB HDDはバックアップ媒体として、果たして適切なのか?」
そんな問いから始めたいと思います。
早速答えを言うと、
「向いてないわけじゃないけど、完璧じゃない」
というのが正直なところです。
詳しくは前々回の記事でお話ししましたが、USB HDDは、
- 容量
- 価格
- 転送速度
の面では、バックアップ媒体として申し分のない魅力を持つ商品だと言えます。
しかしながら、
- セキュリティ性
- 長期保存性
については「完璧ではない」というのが、偽らざる本音です。
一体なぜなのか? 順番に見ていきましょう。
セキュリティ性
まずセキュリティ性については「NASに挿しっぱなしにすると、セキュリティリスクが高くなってしまう」ということです。
物理的な盗難に備えるという意味でもそうですが、なにより万が一「NASに感染するウイルス/マルウェア」にNASが感染した場合、同時にUSB HDD内のバックアップデータごと感染してしまうリスクがあります。
そうなれば、一例として「バックアップデータを暗号化され、『解除したければ金を払え』といった金銭要求が行われてしまう」ことも。
それを防ぐためには、社内ネットワークやNAS自体のセキュリティ対策はもちろんですが、USB HDDをNASに挿しっぱなしにしないことが求められます。これが運用上負担になる場合もあるでしょうから、セキュリティ性については「完璧ではない」と言いました。
長期保存性
長期保存性については、USB HDDが「故障するものだから」です。
HDDは”レコードのような円盤(ディスク)を針で読み取るような”内部構造をしていますが、その稼働部があるがゆえに、経年劣化などによる故障が避けられません。
また、落下や転倒などによる衝撃にも、比較的弱いです。
ディスク自体のデータが無事でも、故障してしまうと読み出しは困難……だからUSB HDDをバックアップ媒体として使う際、最も気を付けるべきは「故障」なのです。
言い換えると、バックアップ媒体にふさわしいUSB HDDの条件は、
「故障に強いこと」
と言っても過言ではありません。
故障に強いUSB HDDとはなにか?
では、「故障に強いUSB HDD」とは一体どういうHDDでしょう?
これについてはズバリ、
「高信頼性HDDを搭載したモデル」
です。
高信頼性HDDとは?
そもそもUSB HDDに搭載される(部材としての)HDDのメーカーは、今や世界に数社しかありません。
我々USB HDDメーカーは、原則それを採用する形です。
彼らのHDD製品にもラインナップがあって、
- PCなどのクライアントマシン向けのHDD
- NAS向けのHDD
- 監視カメラ向けのHDD
- データセンター向けのHDD
などに分かれています。
「一体なにが違うの?」
と思いますよね。
メーカーによっても異なりますが「用途に特化した仕様」になっているということです。
PCに搭載するHDDなら、「使用者がPCを使う日中」のみの稼働が想定されます。
ばらつきはあるでしょうが、24時間PCを使うひとはいないでしょう。
これがNASの場合は誰かが代わる代わるアクセスすることで、24時間稼働するということがあり得ます。
監視カメラの場合はさらにハードで、単なるアクセスではなく「書き込み(録画)」が延々続くことも珍しくありません。
データセンターの場合は極論、全世界から24時間アクセスされることが想定されます。
このように、用途によって「どのくらいHDDが激しく使われるか」が変わります。
HDDは消耗品ですから、激しく使われれば使われるほど摩耗してしまうのです。
論理的には「最もタフな用途に合わせた製品」があれば全てに使えますが、それではコストが上がり、結果として商品価格が高くなってしまいます。
だからHDDメーカー各社は、用途に合わせて「品質」と「コスト」のバランスを取ったラインナップを複数用意しているわけです。
高信頼性のUSB HDDには、どのHDDが搭載されている?
そして、本記事でいう「高信頼性HDDを搭載したモデル」というのは、「NAS向けのHDD」を搭載したUSB HDDを指します。
製品仕様になんの断り書きもないモデルなら、PCなどのクライアントマシン向けのHDDが搭載されているのが普通でしょう。
もちろんそれが低品質というわけではありません。
ただ、バックアップデータというのは、言うまでもなく「喪失してはならない重要なデータ」です。
だから例えば「PCの容量を拡張する」「大容量のデータを受け渡す」といった用途に使うUSB HDDよりも、過剰なほど故障に神経を使うべきなのです。
だから我々は、本来NASに使うほど高信頼性のHDDを、敢えてバックアップ用途のUSB HDDに採用しています。
そのモデルはどれか?
具体的にご紹介しましょう。
バックアップ用USB HDDの種類と、選ぶ観点
高信頼性HDD(NAS用HDD)を搭載したモデルは、4シリーズ32型番あります。
「えっ……そんなにあるの!? 選べないよ」
と引きそうになったあなた、少しだけ待ってください。
型番が多いのは「容量の種類が多い」だけですし、選び方は極めてシンプルです。
シリーズごとの違い
シリーズが4つあるのは、以下のような区分です。
- 1ドライブ搭載品(1TB~20TB/9型番)
- 2ドライブ搭載品(2TB~40TB/9型番)
- 4ドライブ搭載品(8TB~80TB/5型番)
- 1ドライブ搭載品/フォーマット済み(1TB~20TB/9型番)
上の3つ……A、B、Cは要するにほぼ「搭載するHDDの数が違う」だけです。
1ドライブ搭載品よりも2ドライブ搭載品、2ドライブ搭載品よりも4ドライブ搭載品のほうが大容量を実現できます。
4つ目、DはAとほとんど同じ商品です。
違いは「予め、当社NAS専用フォーマット済み」であること。
USB HDDをNASのバックアップにお使いいただく際、原則一度フォーマットしていただく必要があります。
かかる時間は容量によって違うため、一概に申し上げられませんが、短くて30分~1時間はかかります(大容量品の場合は数時間かかることも)。
この時間をかけず、購入後すぐにバックアップ用としてお使いいただけるのが、Dのいいところです。
USB HDDの選び方
ではその4種のうちから、最適なものをどうやって選べばいいのか?
これはもう、私見でズバッとお答えします。
「原則、
A.1ドライブ搭載品(1TB~20TB/9型番)
で、適切な容量のものをお選びください!」
これが本音です。
「1TB、2TB、3TB、4TB、6TB、8TB、12TB、16TB、20TB」
の9型番から、NASの実効容量(RAIDなどの冗長性対策を考慮した、実際にデータ領域として使える容量)以上のモデルを選んでいただくのが良いと考えます。
もちろん「フォーマットの時間が惜しい」という方は、Dでも大丈夫です。
逆に言うと、20TB以上40TB以下の容量が必要な方は、
B.2ドライブ搭載品(2TB~40TB/9型番)
40TB以上の容量が必要な方は、
C.4ドライブ搭載品(8TB~80TB/5型番)
をお選びください。
なぜか?
それが最もコストパフォーマンスの高い選択だと考えるからです。
厳密には……2ドライブ搭載品や4ドライブ搭載品の場合、RAIDに対応していますので、データを2重化してさらにバックアップデータの信頼性を高められます(例:搭載HDDのうち1台が故障しても、データを喪失しない)。
ですが引き換えに、使える容量は減ります(例:RAID1や10:ミラーリングの場合、搭載HDDの半分が、実際に使える容量となる)。
予算が許すならもちろんRAID運用もオススメですが、そもそも普通はNASのほうで、RAIDなどの冗長性対策を行います(こちらは「必須」だと以前お話ししました)。
2重化したデータをバックアップし、さらにそのバックアップデータも2重化する……これを「過剰」と見るか「必要」と見るかは「どのくらいそのデータを重要視するか」という話なので、絶対の正解はありません。
ただ、現実には「バックアップ運用自体をせず、痛切な後悔をされる方」が実在します。
私はNASを販売するメーカー直販の店員として、そういった法人様を本気でゼロにしたいのです。だから「最低限の負担で、最大のリスク回避ができるご提案」をしたい。
そのスタンスからすると、私の意見は
「原則、
A.1ドライブ搭載品(1TB~20TB/9型番)
で、適切な容量のものをお選びください!」
という話になるわけです。
この商品なら、当店通常価格で
2TB:¥25,080
4TB:¥37,180
ですので、比較的手軽にバックアップを始められるのではないかと考えております。
まとめ
というわけで今回は、
「バックアップHDDって、どれを買えばいいの?」
という疑問にお答えしてきました。
結論としては「高信頼性HDDを搭載したモデル」すなわち「NAS用HDDを搭載したUSB HDD」です。
なぜならHDDをバックアップ媒体として使う場合、最も気にすべきは「故障に強い」ことだから、というのがその理由でした。
対象となるモデルは具体的に4シリーズありますが、そのうち3つは搭載ドライブが1台、2台、4台という違い……これは実現できる容量の大きさの違いにつながります。
そして20TB以下の容量でよい場合、私のオススメは、
A.1ドライブ搭載品(1TB~20TB/9型番)
です。
逆に、20TB以上の大容量が必要な場合、またはよりリッチな運用をする余裕がある場合は、
B.2ドライブ搭載品(2TB~40TB/9型番)
C.4ドライブ搭載品(8TB~80TB/5型番)
をご採用いただき、RAID運用を行っていただくのもオススメできます。
それぞれのモデルの価格は、ぜひ以下のURLからご確認ください!
A.1ドライブ搭載品(1TB~20TB/9型番)
5年保証 USB 5Gbps対応 外付HDD HDJA-UTNBシリーズ
1TB 2TB 3TB 4TB 6TB 8TB 12TB 16TB 20TB
B.2ドライブ搭載品(2TB~40TB/9型番)
5年保証 USB 5Gbps対応 2ドライブ搭載(RAID 0/1対応)外付HDD HDW-UTNシリーズ
2TB 4TB 6TB 8TB 12TB 16TB 24TB 32TB 40TB
C.4ドライブ搭載品(8TB~80TB/5型番)
5年保証 USB 5Gbps対応 4ドライブ搭載(RAID 0/5/10対応)外付HDD HD4-UTNシリーズ
8TB 16TB 32TB 48TB 80TB
D.1ドライブ搭載品/フォーマット済み(1TB~20TB/9型番)
5年保証 USB 5Gbps対応 外付HDD 「LAN DISK」バックアップ用 HDJA-UTN/LDBシリーズ
1TB 2TB 3TB 4TB 6TB 8TB 12TB 16TB 20TB
その他、「NASやUSB HDDについての全般的なご相談」も広く受け付けております。
ここまで触れてきた内容の他、なにか導入の壁となるご懸念がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください!
投稿者プロフィール
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PC周辺機器メーカー アイ・オー・データ機器の直販ECサイト「アイオープラザ」店員。
"難しい"PC周辺を"だいたい本音"で語り、"お客様が技術的な知識を学習せずに選べる店"を目指しています!
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