こんにちは、PC周辺機器メーカー直販サイト「アイオープラザ」店員、NAS(ナス)の「なっさん」です!
20年以上前から広く普及しているUSBメモリ。
データの受け渡し・共有に便利な機器ですが、その反面……盗難・紛失による情報漏えいも常に危険視されてきました。
セキュリティリスクを抑止しながら利便性を損なわない。
その選択肢として支持され続けてきたのが”セキュリティUSBメモリ”です。
そんなセキュリティUSBメモリにまつわるお話を、3回に分けてしたいと思います。
まず今回は、
「セキュリティUSBメモリって、なんのためにあるの?」
「法人でUSBメモリを使うリスクって、どういうリスク?」
「USBメモリのリスク対策の考え方を知りたい」
といった疑問やご要望にお答えします。
今回も“だいたい本音”でお話ししますので、ぜひ最後までご覧ください!
※本コンテンツは主に法人向けの内容です。
USBメモリを使う3つのセキュリティリスクとは?
「USBメモリを使うセキュリティリスク」と言うと、
「今さら説明してくれなくても解るよ。情報漏えいでしょ?」
と思われるかもしれません。
正直「そのとおり」なんですが、実はそれを含めて”3つ”あります。
- 盗難・紛失による情報漏えい
- ウイルス・マルウェアの感染拡大
- 管理不行き届きによる信用の失墜
改めて簡単に整理させてください。
1.盗難・紛失による情報漏えい
だいたいどのPCにも付いているUSBポート……そこへ”挿すだけ”でデータを読み書きできるUSBメモリは、2000年代前半の登場直後から爆発的に普及しました。
この「抜き挿しすれば使える」という解りやすさは今なお健在で、まだまだ多くのユーザーに支持されています。
しかし便利であるがゆえに、
「バッグに入れておいたら、バッグごと盗難に遭った!」
「小さいから、いつの間にかなくしちゃうんだよね……」
といった「盗難・紛失」に遭いやすく……2000年代半ばには既に「USBメモリは危険だ」と言われていました。
USBメモリを使う上で、最初に捉えるべきリスクは、この
- 盗難・紛失による情報漏えいリスク
だと言えるでしょう。
ただ……USBメモリのリスクはそれだけではありません。
2.ウイルス・マルウェアの感染拡大
ふたつ目のリスクは、
- ウイルス・マルウェアの感染拡大リスク
です。
古くは「コンピューターウイルス」と呼ばれたりもしましたが、今では”悪意のあるソフトウェアの総称”として、「マルウェア」という言葉が一般的に使われます(ウイルスはその一種です)。
マルウェアを流布するのはアンダーグラウンドの犯罪者たちですが、その目的は主に「金銭」です。
- ”偽のメッセージ”を表示することでクレジットカード情報を入力させようとする
- 感染したPCのデータを”人質”にして金銭を要求する
等、その手口は多種多様……中には、
- 他のマルウェアを大量にダウンロードする
といった動きをするマルウェアもあります。
そしてそれらは、
- Webサイト
など、様々な経路で感染を拡大しようとします。
その”狙われやすい”感染経路のひとつが、
- USBメモリ
というわけです。
2010年前後、「オートラン」「Autorun」等と呼ばれたウイルスが、爆発的に広まりました。
もし仕事に使うUSBメモリが感染してしまうと、自社のPCや取引先のPCなど、USBメモリを挿したPCが次々に感染してしまうというマルウェアです。
近年では大きな話題になることはありませんが、それはある程度対策方法が確立し、普及したからだと思われます。
マルウェアの流布自体が根絶されたわけではない、ということは留意すべきでしょう。
3.管理不行き届きによる信用の失墜
USBメモリを使う直接的なリスクは、上に挙げた
- 盗難・紛失による情報漏えいリスク
- ウイルス・マルウェアの感染拡大リスク
の2つと言えますが、3つ目として「見落としがちなリスク」を敢えて挙げたいと思います。それは、
- 管理不行き届きによる信用の失墜リスク
です。
「どういうこと?」
その疑問にお答えする上で、先のふたつ……「情報漏えい」や「ウイルス・マルウェア感染」が実際に発生し、発覚してしまった場合”どうなるか”を想像してください。
ざっと考えるだけでも、
- 個人情報を漏えいさせてしまった個人への賠償
- 顧客との取引停止
- 業界内での信用失墜
などが想定されます。
この中でより深刻なのは、一過性の金銭的負担以上に「信用の失墜」であることは言うまでもありません。
そしてその「信用の失墜」は、「情報漏えい」や「ウイルス・マルウェア感染」の事実以上に、「管理不行き届き」に対して向けられるのではないでしょうか?
「そもそも、なぜこんなずさんな運用をしていたんだ?」
「個人情報を扱うのに、ちゃんと管理していなかったのか」
等、批判の対象は、
- 管理体制
になりやすい。
その意味で、USBメモリを使う「最大のリスク」は
- 管理不行き届きによる信用の失墜リスク
だと言っても過言ではありません。
ちなみに……だからこそ、
- USBメモリの使用を禁止する
というセキュリティポリシーの法人も多いのですが、実はそれだけだと根本的な解決にならない可能性があります。
なぜでしょう?
USBメモリのリスク対策……基本的な考え方とは?
ここまで、「USBメモリを使うリスク」は以下の3つだとご説明しました。
- 盗難・紛失による情報漏えい
- ウイルス・マルウェアの感染拡大
- 管理不行き届きによる信用の失墜
これらのリスクに対し、
「だったら従業員に使わせなければいい」
と考え、
- USBメモリの使用を禁止する
というセキュリティポリシーを適用する法人も少なくありません。
確かにこれ自体、ひとつの角度からは理にかなった考えだと言えるでしょう。
ただし……「業務現場とのギャップが生じさえしなければ」です。
セキュリティは生産性を阻害する
暴論だと言われるかもしれませんが、セキュリティというのは基本的に
- 邪魔
なものです。
家の鍵を想像してみてください。
鍵が付いていないほうが、楽に開けられますよね?
金庫にせよ、車にせよ、インターネットのサービスにせよ、理屈は全て同じです。
セキュリティ機能を付けることで、
「うわ、めっちゃ使いやすくなったなあ!」
となることは、まずありません。
基本的にセキュリティは生産性を阻害するものです。ないほうが、効率的に使うことができます。
にもかかわらず、なぜセキュリティ機能が存在するのでしょう?
それはここまで見てきたとおり、
- リスクを回避するため
です。
セキュリティ対策を考える、正しい手順
なにが言いたいかというと、セキュリティ対策”から”仕事のあり方を考えるのは、本末転倒だということです。
仕事のあり方が先にあって、そこから「いかに生産性を阻害せず、安全性を高めるか?」という考え方をするのが正しい手順だと、私たちは思います。
もう少し平たい言い方をすれば、「USBメモリを使わないと業務が成立しない」という仕事の現実がある環境で、杓子定規に「禁止だ!」というセキュリティポリシーを設けてしまうということは、
- セキュリティ対策⇒仕事
という手順で考えてしまっているということになります。
そういう組織では、管理する側と現場の意見が対立し続け、結局「こっそり使い続ける」ひとが後を絶たない状態が続きます。
結果、
- 盗難・紛失事故が起きてから、従業員のセキュリティポリシー違反が発覚する
- 組織内で従業員個人を責めたところで、被害を受けた顧客等から見れば「管理不行き届き」
という事態に陥ってしまうのです。
「じゃあ、どうすればいいの?」
その答えは、
- 危険だから禁止する
ではなく、
- 安全なものを許可する
ということになります。
では「安全なもの」とはなにか……それは次回、お話しいたします。
まとめ
というわけで今回は、法人において「USBメモリを使うリスク」と「リスク対策の基本的な考え方」についてお話ししました。
まずUSBメモリを使うリスクについては、
- 盗難・紛失による情報漏えい
- ウイルス・マルウェアの感染拡大
- 管理不行き届きによる信用の失墜
という3つが挙げられますが、これらのリスクに対して単に
「USBメモリは使用禁止だ!」
と決めてしまうと、業務現場とのギャップが生じ、結果として「こっそり使い続ける」といった新たなリスクを誘発してしまいかねません。
セキュリティは原則”生産性を阻害するもの”だという事実を踏まえ、
- セキュリティ対策⇒仕事
ではなく、
- 仕事⇒セキュリティ対策
という手順で考えることが重要です。
そうなると、
- 危険だから禁止する
ではなく、
- 安全なものを許可する
というのが妥当な考えだと言えますが……この「安全なもの」の具体的な話を、次回させていただきたいと思います。
その他、「USBメモリのセキュリティに関する全般的なご相談」も広く受け付けております。
ここまで触れてきた内容の他、なにか導入の壁となるご懸念がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください!
投稿者プロフィール
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PC周辺機器メーカー アイ・オー・データ機器の直販ECサイト「アイオープラザ」店員。
"難しい"PC周辺を"だいたい本音"で語り、"お客様が技術的な知識を学習せずに選べる店"を目指しています!