こんにちは!
PC周辺機器メーカー直販サイト「アイオープラザ」店員、NAS(ナス)の「なっさん」です!
この記事では、
「いまさらだけど……NASってなんなの?」
「NASがなにかは解るけど、あんまり詳しく知らないんだよね」
「改めてNASの知識を整理したい」
「クラウドストレージとの違いを知りたい」
といったあなたへ向け、「初歩的な知識」と「そこから生まれる次の疑問」を”易しく”かつ”優しく”説明します。
本記事があなたの「NASを学ぶ入口」になると嬉しいです。
ぜひ最後までご覧ください!
※本記事は主に法人向けのNASについて書かれています。
「NASとはなにか?」にひと言で答えると……
「NASとはなにか?」
この質問の答えでよくあるのが、
「Network Attached Storage(ネットワークアタッチドストレージ)の略だから、ネットワークで繋がるストレージだよ」
的なものですが、これでピンと来るのはすでに結構詳しい方だと思います。
「お金ってなに?」という質問に対して「装飾を施した金属または紙」と答えるようなものではないでしょうか。
これを踏まえ「NASとはなにか?」にひと言でお答えすると……
「みんなで同時に使えるデータ領域」
です。
パソコンやスマートフォンにあるデータ領域(ストレージの容量)は、そのパソコンやスマートフォンのユーザーだけが使えますよね?
これに対し「みんなで同時に使える」のがNASの価値です。
では「みんなで同時に使えるようになる」と、一体どんないいことがあるのでしょう?
「みんなで同時に使える」ことの意義
例えば「作った文書データを自分だけで使う」場合、NASは不要です。
ですが、仕事をしていると以下のような場面がありませんか?
- 作った資料を多数のひとに共有したい。
- 他のひとが作ったファイルをもらって、加工したい。
こういう場合「メールで送る」「USBメモリやUSB HDD(ハードディスク)に保存して、物理的に受け渡す」といった方法でも解決できます。
だけど端的に言って「面倒!」じゃないでしょうか?
月に1度ならともかく、回数が多くなればなるほど効率が落ち、仕事のリズムが乱れてしまうでしょう。
NASのいいところは、パソコンに内蔵されたストレージと「ほとんど同じように使える」ことです。
エクスプローラー(Windows上でファイルを管理するインターフェース)の操作でNASの中にあるファイルを開き、編集し、移動できます。
だからパソコンの基本的な操作が解る方であれば、改めて使い方を学ぶ必要がありません。
新しい機器やツールを社内に導入する際、使う方々の教育がハードルになることもありますが、NASの場合そこまで心配する必要はないでしょう。
また「みんなでひとつのデータ領域を使う」ことで、容量の拡張が容易になるのもメリットのひとつです。
個々のパソコンで容量が足りなくなった場合は、ひとつひとつのパソコンのストレージを大容量品に入れ替えたり、外付けのUSB HDDを取り付けたりする必要があります。
しかしNASなら、NASの容量を増やすだけで全員が恩恵を受けられます。
容量をたくさん使うひととそうでもないひとがデータ領域を共用することで、全体として効率的な運用ができるというわけです。
「ん? これって要するにクラウドストレージみたいなもの?」
そう思われた方、確かに「みんなで同時に使えるデータ領域」という意味で、クラウドストレージとNASは似ており、よく比較されます。
さて、このふたつはどう違うのでしょう?
「クラウドストレージとNASの違い」は?
NASを売る身で言うのもなんですが、クラウドストレージ(以下「クラウド」)も非常に便利なサービスです。
「一体なにが違うの?」
という疑問にひとつの側面から端的にお答えすると、
「オフィスに設置するのがNAS、世界のどこかにあるのがクラウド」
です。
実はこの「どこにあるか」は、かなり重要です。
まずは「提供方法の違い」に紐づきます。
NASが家具や冷蔵庫のように「買って設置して使うもの」であるのに対し、クラウドは「契約して利用するサービス」です。
実際にストレージが置かれている場所(データセンター)はサービス事業者によって異なりますし、多くの場合その場所は非公開です。比喩ではなく「世界のどこか」にあるストレージの領域を、インターネット経由で利用する「サービス」……それがクラウドと言えます。
さらにこの「どこにあるか」は「提供形態の違い」だけでなく、NASとクラウドの「強みと弱み」に繋がります。
NASとクラウドの「強みと弱み」
クラウドはサービスであるがゆえに、事業者は永続的にデータセンターの運営費を負担しなければなりません。
つまり必然的に、利用者からサービス料金を継続徴収する必要があります。
対してNASは「買い切り」の機器ですから、原則イニシャルコストは必要ありません。
ただしNASは「手元に置く」以上、データのバックアップや故障時の保守運用、耐用期間経過後の入替などを自身で計画する必要があります。
クラウドの場合、契約さえしてしまえばそういった点は事業者が適切に運用してくれるのが一般的です。
また、クラウドは常にインターネット経由で使うため、回線速度によってデータへのアクセススピードが変わります。
ちょっとした文書ファイルを扱う程度なら影響はないでしょうが、基本的にはローカル環境(オフィス内)で使うNASのほうが、大容量のファイルを扱うのには適しています。
このように「オフィスに設置するのがNAS、世界のどこかにあるのがクラウド」という観点から両者を比較すると、強みと弱みがはっきり分かれるのが解ります。
NAS | クラウドストレージ | |
---|---|---|
設置場所 | オフィス内 | 世界のどこか |
提供形態 | 買い切り | サービス |
イニシャルコスト | 大 | 小 |
ランニングコスト | 小 | 大 |
バックアップ、保守、入替 | 自身で計画 | 事業者が計画 |
データ転送速度 | 原則ローカル運用のため速く、大容量データの扱いに向く | 回線速度に依存し、一般的にローカル環境より遅い |
「で……結局どっちがいいの?」
というお声が聞こえてきそうなので、僭越ながら私見を述べさせていただきます。
結局NASとクラウドは、どっちがいい?
上の内容より、NASとクラウドは似て非なる魅力を持ったものです。
だから一概にどちらがいいとは言い切れません。
が、それを承知で敢えて申し上げます。
お金に余裕があって、大容量のデータを扱わないならクラウドがいいです。
「え……NASメーカーの直販サイトなのに、クラウドをオススメするの?」
そう思われたかもしれませんが、本音なので仕方ありません。
なんと言っても契約さえすれば今日にでも使い始められ、バックアップ等を考えなくてもいい(事業者が考えてくれる)というのが、使う側としては楽です。
ただし逆に考えると「NASの導入が適した方もいる」ということがお解りいただけるのではないでしょうか?
例えば、以下のような方です。
- お金(経費)に余裕があるわけではない。
- 大容量のデータを扱うことがある。
クラウドと比較すれば、NASはひとりあたりの単価がかなり安価で済みます。
クラウドサービスの課金の考え方はおおまかに言って、
- ひとりあたり〇〇円。
- 容量あたり〇〇円。
という2種類ですが、Aについては月額500円以下のサービスだと、使える容量が極端に少なめです。ですが容量が多いと月額1,000円を超えてしまいます。
Bについては大人数で使えば使うほどひとりあたりの金額は安くなりますが、小規模運用だとひとりあたりは割高になりやすい。つまり大企業での運用に向くサービスです。
これに対しNASの場合、例えば当店売れ筋のミドルエンドモデル・実効容量4TBのHDL2-XA8Bだと155,430円(税込)です。
仮に5年間、30人でお使いの場合、
- ひとりあたりの容量は約130GB。
- 月あたりの料金は約81円/人。
となります。
130GBの容量を月81円で使えるクラウドサービスが存在するかどうかは、探していただければすぐにお解りいただけるでしょう。
もちろんバックアップ用のHDDや保守の費用を含めればもう少し高くなりますが、それでもこの点は、やはりNASのほうにアドバンテージがあると言えます。
また大容量のデータ……例えば高画質画像・動画やCAD、点群データなどを扱う際にはアクセス速度が求められますが、これもローカルで接続するNASに分があります。
まとめ
まとめると「費用面に問題がなく、大容量のデータもほぼ扱わない」ということなら、クラウドの導入・運用ハードルの低さは非常に良いと思います。
ただし「費用的な制限があり、大容量のデータを扱うことがある」ならNASが良い選択肢になるでしょう。
「でも、自分でNASを買って設置するなんて、ハードルが高そう……」
そういったご懸念のある方は、ぜひ続けて以下の記事をご覧ください。
「NASが難しそう」と思われる方の中には「なにが解らないかが具体的に解らない(から難しく感じる)」状態の方がいらっしゃいます。
解らなかったことが具体的になることで、
「あれ? 意外とやれそうかも?」
と思えるかもしれません。
「NASって難しいの?」買う前に必ず考えるべき2つのリスクとは?
また、具体的にNASを選ぶ段階の方は以下の記事をどうぞ。
当店で扱うNASの型番は100を超えますので、適切な1台をお選びいただくためには多少の「コツ」が必要です。
以下の記事はいずれもその「コツ」を違う角度で整理したコンテンツとなります。
選択肢100型番以上!「で、何が違うの?」NASの選び方を解説
「壊れないNAS」が一番いい……でも、そんなのある?
さらに、「もうだいたい選んでるけど……」という段階の方には以下をオススメします。
ご自身の選択の良し悪しをセルフチェックしたり、社内的なご説明を支援するためのコンテンツです。
その他、ここにない「NASについての全般的なご相談」も広く受け付けております。
「導入すべき機種の提案が欲しい」
「見積りを作成してほしい」
等、導入の壁となるご懸念がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください!
投稿者プロフィール
-
PC周辺機器メーカー アイ・オー・データ機器の直販ECサイト「アイオープラザ」店員。
"難しい"PC周辺を"だいたい本音"で語り、"お客様が技術的な知識を学習せずに選べる店"を目指しています!
最近の投稿
- NAS2024年10月8日ファイルサーバーとNAS、どう違う? そもそもサーバーとは?
- NAS2024年9月18日NASの容量、どう選ぶ? 考えるための「公式」とは?
- NAS2024年9月18日NASの保守:必要性と選び方って? ラインアップを徹底解説!
- ユーズド品2024年9月6日なぜメーカー直販サイトがユーズド品を売り始めたのか?