こんにちは、PC周辺機器メーカー直販サイト「アイオープラザ」店員、NAS(ナス)の「なっさん」です!
前回は、
「ストレージってたくさん種類があるけど、それぞれの違いはなに?」
という疑問にお答えするため、
- ストレージの用途が分かれているから、ストレージの種類が多岐にわたる
という背景を踏まえ、まずは「4つの用途」についてお話ししました。
今回はその後編として、ストレージの「種類」を、各用途との関係も含めてお話しします。
あなたが求める用途に沿って、適切な商品を選べるように……”だいたい本音”でお話ししますので、ぜひ最後までご覧ください!
ちなみに……そもそも「ストレージってなに?」という方は、以下をご参照ください。
いまさら聞けない!「ストレージってなに? メモリとの違いは?」
※本コンテンツは主に法人向けの内容です。
- 0.1. ストレージの種類
- 0.2. A.内部ストレージの種類
- 0.2.1. HDDとSSD:PCやサーバーの「保存」を担う
- 0.2.2. eMMCとUFS:スマートフォンやタブレット端末の「保存」を担う
- 0.3. B.外部ストレージの種類
- 0.3.1. 保存:USB HDD、USB SSD、SDカード
- 0.3.2. 拡張:USB HDD、USB SSD、NAS、SDカード、クラウドストレージ
- 0.3.3. 共有:USB HDD、USB SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、DVD/ブルーレイディスク、クラウドストレージ
- 0.3.4. バックアップ:USB HDD、NAS、DVD/ブルーレイディスク、LTO、クラウドストレージ
- 0.4. まとめ
ストレージの種類
「ストレージって何種類あるの?」
と訊かれたら、私はこうお答えします。
「いやあ、ちょっと解らないですね~」
すいません、怒らないでください。
過去から現在に至るまでに現れたストレージの規格を、派生も含めて全て網羅しようとすると、膨大な数になってしまいます。
だから「全部で〇〇種類です!」と言い切ることは、残念ながら難しいです。
ただ……仮にそれができたところで、あまり意味がないとも思います。
なぜなら既に歴史的な役目を終えているものや、あまり普及しなかったものも少なくないからです。
ただしどんなストレージであっても、突き詰めれば以下の2つに区分できます。
- 内部ストレージ
- 外部ストレージ
「内部と外部って、なにに対して?」
これはズバリ「PCやスマートフォンなどの機器」です。
元々内蔵されているか? あるいは後からでも取り外しが容易か?
例えば以下の図で言うと、
- 内蔵SSD⇒内部ストレージ
- USB HDD⇒外部ストレージ
ということになります。
ではふたつの区分それぞれについて、具体的にどんな種類があるのか見ていきましょう。
A.内部ストレージの種類
内部ストレージには、以下のような種類があります。
- HDD(ハードディスクドライブ)
- SSD(エスエスディー/ソリッドステートドライブ)
- eMMC(イーエムエムシー/エンベデッドマルチメディアカード)
- UFS(ユーエフエス/ユニバーサルフラッシュストレージ)
用途との関係で言えば……「保存」「拡張」「共有」「バックアップ」のうち、内部ストレージはいずれも「保存」を担うものです。
では上に挙げた4つはなにが違うのかと言うと、
「なにに搭載するか?」
が異なります。
大雑把に分けると、
- HDD、SSD⇒PCやサーバー等
- eMMC、UFS⇒スマートフォンやタブレット端末等
です。
それぞれもう少しだけ詳しくお話しします。
HDDとSSD:PCやサーバーの「保存」を担う
まずは比較的よく知られている「HDD」と「SSD」について、簡単にご説明しましょう。
私たちのような機器メーカーが、単に「HDD」「SSD」と言う場合……「内蔵HDD」「内蔵SSD」のことを指します。
PCやサーバーなど、なんらかの機器の内部に搭載することが、HDDやSSDの「基本」だからです。
歴史的に言うと、2000年以前のPC普及時期から、HDDはPCの内蔵ストレージとして主流でした。
が、2000年代後半から徐々にSSDを搭載したPCが増え、近年では主流が完全に入れ替わっています。
HDDとSSDの性能の違いとしては、
- 容量単価はHDDのほうが安価で、大容量品を安く作りやすい
- アクセス速度はSSDのほうが遥かに高速
- 耐衝撃性に優れるのはSSD
という3点が挙げられます。
つまり、
- 「大容量で安い」ことが重要ならHDD
- 「速くて衝撃に強い」ことが重要ならSSD
を、それぞれ用いるのが良いということです。
この意味で、2000年代後半以降のPCが「デスクトップPC」から「ノートPC」に移行していったことも、SSDの普及を後押ししたものと考えられます。
持ち歩けるノートPCにとっては、耐衝撃性が非常に重要だからです。
逆に固定設置が原則の、大容量が必要なサーバー用途などでは、今もHDDの搭載が主流となっています。
eMMCとUFS:スマートフォンやタブレット端末の「保存」を担う
では、スマートフォンやタブレット端末についてはどうでしょう?
当然、ノートPC同様(もしくはそれ以上に)耐衝撃性が重要です。
「じゃあスマホとかタブレットには、SSDが搭載されてるの?」
イエス……と言いたいところですが、私の答えはこうです。
「いえ、SSD”的なもの”が搭載されています」
どういうことか?
まず、スマートフォンにはSSDではなく
- eMMC
- UFS
というストレージが搭載されています。
が、これらのストレージの”中身”は実のところ「SSD」と同じです。いずれも、
- (NAND型)フラッシュメモリー
という記憶媒体が使われています。
多少乱暴な言い方をすれば、「フラッシュメモリー」という”部品”が、「SSD」や「eMMC」や「UFS」といった複数の規格で、”ストレージ”として製品化されるということです。
規格の違いは「サイズ」や「容量」「速度」。
特に、スマートフォンにSSDが搭載されない最大の理由は「サイズ」でしょう。
SSDの「サイズ」にも幾つかありますが、スマートフォンに適合するサイズはありません。
そのため、より小さなサイズのeMMCやUFSが使われるというわけです(ちなみにこのふたつだと、UFSのほうがより新しく、高速な規格となります)。
また、タブレット端末については機種ごとに搭載されるストレージが異なります。
筐体のサイズや必要なスピードスペックなどによって、eMMCやUFSが搭載される機種もあれば、SSDが搭載される機種もあるというのが実情です。
このように、内部ストレージはHDDまたはフラッシュメモリーを搭載した製品(SSD、eMMC、UFS)の中から、「サイズ」「容量」「速度」「耐衝撃性」などによって、適切なものが選ばれるというのが、大まかな実態と言えるでしょう。
表にまとめると、以下のようになります。
<ストレージの種類と用途の関係:内部ストレージ>
保存 | ||||
---|---|---|---|---|
サーバー/デスクトップPC | ノートPC | スマートフォン | タブレット端末 | |
HDD | 〇 | △ | - | - |
SSD | △ | 〇 | - | 〇 |
eMMC | - | - | 〇 | 〇 |
UFS | - | - | 〇 | 〇 |
そしてこれよりもう少し種類と用途の組み合わせが多様なのが、次にお話しする外部ストレージです。
B.外部ストレージの種類
外部ストレージには、以下のような種類があります。
- USB HDD(外付けHDD、ポータブルHDD)
- USB SSD(外付けSSD、ポータブルSSD、スティックSSD)
- NAS
- USBメモリ
- SDカード
- DVD/ブルーレイディスク
- LTO(磁気テープディスク)
- クラウドストレージ
この時点で内部ストレージより「多いな」という感想を抱かれたのではないでしょうか?
これらが「保存」「拡張」「共有」「バックアップ」という4つの用途のうち、どれを担うのかと言うと……実は、4つ全てです。
まずは結論として、以下の表を見てください。
<ストレージの種類と用途の関係:外部ストレージ>
保存 | 拡張 | 共有 | バックアップ | |
---|---|---|---|---|
USB HDD | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
USBSSD | 〇 | 〇 | 〇 | - |
NAS | - | 〇 | 〇 | 〇 |
USBメモリ | - | - | 〇 | - |
SDカード | 〇 | 〇 | 〇 | - |
DVD/BD | - | - | 〇 | △ |
LTO | - | - | - | 〇 |
クラウド | - | 〇 | 〇 | 〇 |
見てのとおり、「〇」よりも「-」のほうが少ないくらいです。
この内容を踏まえつつ、用途ごとに見ていきましょう。
保存:USB HDD、USB SSD、SDカード
まず、「保存」については比較的シンプルです。
それぞれ、
- USB HDD⇒TV(録画)
- USB SSD⇒TV(録画)
- SDカード⇒デジタルカメラ(撮影)
の保存媒体として使われます。
<ストレージの種類と用途の関係:外部ストレージ 保存>
保存 | ||
---|---|---|
TV | デジカメ | |
USB HDD | 〇 | - |
USB SSD | 〇 | - |
SDカード | - | 〇 |
要するにTVやデジタルカメラなど、内部ストレージを持たない機器の場合、「保存」という用途を外部ストレージに頼るということです(SDカードは見た目としては内蔵ですが、簡単に取り外し可能なので、本記事では外部ストレージの区分としています)。
拡張:USB HDD、USB SSD、NAS、SDカード、クラウドストレージ
「拡張」については、主にPCとスマートフォン・タブレット端末が対象となります。
表にすると、以下のとおりです。
<ストレージの種類と用途の関係:外部ストレージ 拡張>
拡張 | |||
---|---|---|---|
PC | スマートフォン | タブレット端末 | |
USB HDD | 〇 | - | - |
USB SSD | 〇 | - | - |
NAS | 〇 | 〇 | 〇 |
SDカード | - | 〇 | 〇 |
クラウド | 〇 | 〇 | 〇 |
PCについて、最もよくあるのはUSB HDDによる増設です。
USBが普及する前は別のインターフェースでしたが、いずれにせよ「内部ストレージの容量不足を、外付けのHDDで解消する」という手法は30年近く前からあります。
当然、USB SSDでもほとんど同じ使い勝手で増設が可能です。
違いは内部ストレージの項で触れたとおり、
- 「大容量で安い」ことが重要ならHDD
- 「速くて衝撃に強い」ことが重要ならSSD
という選び方で良いでしょう。
その他、少し変わり種ですが「ネットワーク経由で容量を増やす」というのが、NASやクラウドストレージによる拡張です。
NASは誤解を恐れずに言うと「有線LANでつながるHDD」、クラウドストレージは機器ではなく「インターネット経由で一定容量のデータ領域を使える”サービス”」です。
NASやクラウドについては、以下の記事で基礎的な知識をご説明していますので、ぜひ併せてご覧ください。
いまさら聞けない!「そもそもNASってなに? クラウドとの違いは?」
また、スマートフォンやタブレット端末(※)に関しては、原則USB HDDやUSB SSDによる増設が行えない代わりに、機種によってはmicroSDカードによる増設が可能です。
※ややこしいですが、Windows OS搭載タブレットはPCとお考えください。
最近では非対応機種も増えていますが(iPhoneは昔から非対応)、ガラケーの時代から、携帯電話の拡張ストレージと言えばmicroSDカードでした。
なお、NASやクラウドストレージは、スマートフォンやタブレット端末の拡張にも使えます。特に、iCloudやGoogle Driveなどのクラウドストレージサービスは、スマートフォンとの親和性を突き詰めて作られているように感じます。
共有:USB HDD、USB SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、DVD/ブルーレイディスク、クラウドストレージ
続けて「共有」です。
ほとんどのストレージが「〇」でしたが、これも「PC」か「スマートフォン・タブレット端末」かで、微妙に内容が変わります。
<ストレージの種類と用途の関係:外部ストレージ 共有>
共有 | |||
---|---|---|---|
PC | スマートフォン | タブレット端末 | |
USB HDD | 〇 | - | - |
USB SSD | 〇 | - | - |
NAS | 〇 | 〇 | 〇 |
USBメモリ | 〇 | 〇 | 〇 |
SDカード | 〇 | - | - |
DVD/BD | 〇 | - | - |
クラウド | 〇 | 〇 | 〇 |
PCは全ての種類で「〇」です。
ただ、これは特段「多いから良い」というわけではありません。
私見ながら、これはPCが「高速インターネットが当たり前ではなかった時代から、存在していた機器」というのが関係している気がします。
インターネットが発達していない世界では、データを他者と共有するためには「物理的な媒体を受け渡す」しかありませんでした。
その対象として、
- USBメモリ
- SDカード
- DVD/ブルーレイディスク
- USB HDD
- USB SSD
などの、様々なストレージが商品化されました。
これらはいずれも「データを受け渡すために使われる」という点では共通ですが、以下のような違いがあります。
- 小さくて手軽、USB端子のあるPCならだいたい使える⇒USBメモリ
- デジカメで撮った写真をそのまま共有するのに便利⇒SDカード
- 単価が安いので、データごと相手に贈与するのに便利⇒DVD/ブルーレイディスク
- 容量が大きいので、大容量データも渡せる⇒USB HDD、USB SSD
それに対し、NASやクラウドストレージは、どちらかというと後から生まれた共有方法です。
- 複数のPCやスマートフォンから同時にアクセスできる
という点で、他にない利便性を備えたストレージであることは間違いありません。
ただ、ネットワークを介して使うため、物理的なストレージを抜き差しして使うより、視覚的に解りづらい側面があるのも事実です。
過去、長きにわたってPCの共有ストレージとして最もメジャーだったのは、USBメモリやDVDメディアなどの「物理的に受け渡す媒体」だったと言えるでしょう。
このように、PCはインターネットを必要としないローカルな共有ストレージが発達した時代を経てきました。
しかし現在、個人向けの情報端末として主流のスマートフォンやタブレット端末は、最初からインターネットへの接続が大前提の機器です。
サイズがPCより小さいこともあって、既存の外部ストレージの大半が使えません。
例外として、USBメモリはスマートフォンに対応した機種が存在します。ただし、PCほど使う必然性は大きくないと言えるでしょう。
それは、NASやクラウドストレージによる共有ができるから……と言う以上に、
- アプリを介してデータを共有できる
からです。
例えばLINEやInstagramなどのSNSで写真データを共有する場合、物理的なストレージを受け渡す必要がなく、かつ非常に手軽です。
だから「共有」用途については、昔よりストレージ(機器)の必要性が薄れていると感じる、というのが本音です。
ただし、法人の世界ではやや事情が異なります。
ビジネスでは、主流の機器がPCからスマートフォンへ移り変わっていません。今も多くの法人でPCを用い、社内・社外と頻繁にデータのやり取りをする機会は多いでしょう。
かと言って物理的な媒体だけでは、利便性の面だけ取っても限界があります。これに代わるものとして、NASなどの「みんなで使えるデータ領域」(ファイルサーバー)が活躍するシーンは当面なくならないものと、私たちは考えています。
そんなNASやクラウドストレージについて詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
いまさら聞けない!「そもそもNASってなに? クラウドとの違いは?」
バックアップ:USB HDD、NAS、DVD/ブルーレイディスク、LTO、クラウドストレージ
最後は「バックアップ」用途です。
これも他の用途同様、「PC」と「スマートフォン・タブレット端末」に分けて見てみましょう。
<ストレージの種類と用途の関係:外部ストレージ バックアップ>
バックアップ | |||
---|---|---|---|
PC | スマートフォン | タブレット端末 | |
USB HDD | 〇 | - | - |
NAS | 〇 | 〇 | 〇 |
DVD/BD | △ | - | - |
LTO | 〇 | - | - |
クラウド | 〇 | 〇 | 〇 |
これも構図としては「共有」と似ています。
スマートフォンやタブレット端末では
- NAS
- クラウドストレージ
のいずれか、という選択肢が大勢を占める中、PCには
- USB HDD
- DVD/BD
- LTO
など、昔ながらの方法が多数用意されている……といった形です(ちなみに「ファイルサーバー」のバックアップは、上の表で言う「PC」と同じ考え方ができます)。
細かい補足をすると、DVD/ブルーレイディスクが「△」なのは、大容量のデータを丸ごとバックアップするには、やや容量が足りないからです。
また、LTOとは磁気テープメディアの一種で、まさにバックアップ用途のためのストレージです。
バックアップについては、以下の記事で基本からご説明していますので、ご興味のある方はぜひご一読ください。
バックアップってなに? なんのためにやるの?
まとめ
というわけで、今回はストレージの種類と用途との紐づきについてお話ししました。
「ストレージってたくさん種類があるけど、それぞれの違いはなに?」
という疑問について、ある程度解消いただけたのではないでしょうか?
ただし本記事でご説明した内容は、まだまだ”さわり”ですので、これをインデックス的な入口としていただき、ぜひ詳しく知りたいキーワードを深掘りいただけると嬉しいです!
↓NAS・クラウドストレージについて詳しく知る↓
いまさら聞けない!「そもそもNASってなに? クラウドとの違いは?」
↓バックアップについて詳しく知る↓
バックアップってなに? なんのためにやるの?
その他、「ストレージについての全般的なご相談」も広く受け付けております。
ここまで触れてきた内容の他、なにか導入の壁となるご懸念がございましたら、ぜひお気軽にお問合せください!
投稿者プロフィール
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PC周辺機器メーカー アイ・オー・データ機器の直販ECサイト「アイオープラザ」店員。
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